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映画『人間失格』を見てきました。
レディスデーだったせいもあると思いますが、お客さんはほぼ女性でした。
やはり小栗旬さんの太宰治を見たいという、女性ファンの方が多かったのでしょうか。
太宰治の作品を読んだ際の筆者のイメージは、太宰はどうしようもない人だということ。
作家としての才能は十分にあるのかもしれませんが、女性関係のだらしなさ以外にも、酒、たばこ、薬で体を壊しています。
太宰は自分のしていることが命を縮めているとわかっていても、どれもやめることが出来ない人なのです。
作品を読んでいても、正直太宰の人柄に呆れることばかりでした。
そんなダメな人間である太宰を小栗旬さんがどう演じるのかが楽しみでした。
そして蜷川監督が太宰治という人間にどのような解釈するのかということも。
さらに太宰が愛した3人の女性を、宮沢りえさん、沢尻エリカさん、二階堂ふみさんが演じます。
実力派女優3名の競演も映画の見どころの一つだと思います。
今回は『人間失格』の感想と評価を紹介します。
二階堂ふみさんの素晴らしい演技力についても触れたいと思います。
この記事は、『人間失格』のネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意下さい。
映画『人間失格』2019のあらすじ
『人間失格』は「恥の多い生涯を送ってきました。」という一文が有名な太宰治の小説となります。
この作品を書き上げた後に太宰は心中して亡くなったため、遺作となりました。
この映画は太宰が『ヴィヨンの妻』から『人間失格』を書き上げるまでの、彼の苦悩に満ちた半生と、彼を愛した3人の女性について描いたストーリーとなります。
映画『人間失格』2019の結末
結末から言ってしまうと、太宰治(小栗旬)は富江(二階堂ふみ)と入水自殺をし、生涯を終えます。
太宰は以前から、自殺まがいのことを繰り返していました。
映画の冒頭でも別の女性と海へ入水自殺していますが、太宰が必死に海を泳いで助かったと語っています。
筆者が一番意外に思ったのが、太宰は富江と心中するその間際まで、生への執着を見せるのです。
蜷川監督は、太宰が結核により余命がほとんどないとわかっていても、最後まで生きようとしていたと解釈しているのですね。
それでいて、太宰から死への恐怖を感じることもありませんでした。
生と死が背中合わせのような、見ていてとても不思議な感覚になりました。
まるで太宰にとって、生きていることも死んでいることも大して変わりがないような…。
むしろ太宰は、生きているのがつらそうに思えることが多かったです。
太宰が自身に対して「人間失格」という言葉を投げつけているシーンも印象的でした。
「人間失格 太宰治と3人の女たち」鑑賞
前提として、太宰作品は齧る程度、伝記などは未読の為事実と脚色の差異は分からず。
本作においては、太宰は最終的に生に執着したまま死んだのかなと。
死のうとして、死にたいから死んだというよりは、生きていたいけど死んでしまおうといった感覚。— タマシャモン (@tamasham0n) September 18, 2019
映画『人間失格』2019で太宰が愛した女性たち
太宰の正妻である津島美知子
津島美知子は宮沢りえさんが演じています。
『ヴィヨンの妻』のモデルとなったとされる女性。
太宰との2人の子供を育て、さらに第3子を身ごもりながら、懸命に太宰を支えています。
美知子は太宰の作品を決して褒めず、もっと素晴らしい傑作を書いてほしいと願っています。
そのためには、家や家族を捨てることを太宰に進言するほど、彼の才能を信じていたのです。
太宰の入水自殺後、完成後の『人間失格』を読み、晴れ晴れとした表情を見せる芯の強い女性です。
太宰の弟子とされた太田静子
太田静子(沢尻エリカ)は、現代で言うところのバツイチで、元お嬢様です。
『斜陽』のモデルとなったとされる女性。
育ちのせいもあるのか、どこか夢見がちな女性ですが、太宰は静子の日記に興味を持ちます。
日記を見せる代わりに、自宅に太宰を呼び寄せ、太宰との子どもを望む静子。
妊娠後、太宰の静子への興味は急速に失われますが、静子は太宰に我が子の認知を迫ります。
そして最終的に『斜陽』に自分の名前を載せてほしいとさえ言うのです。
静子は大らかで天真爛漫ですが、とてもしたたかで強い女性です。
太宰が最後に愛した女性、山崎富江
太宰が最後に愛した女性である、山崎富江を演じたのが二階堂ふみさんです。
富江は働きながら、太宰の生活を支え、身も心も全てを太宰に捧げます。
その後、静子との隠し子の存在を知り、激しく動揺する富江。
富江は自殺をはかろうとしますが、太宰に止められます。
太宰は富江のそばにずっといるから、と約束するのです。
結局富江は、太宰との子どもを授かることが出来ませんでした。
かといって他の女性のように作品を産んでもらうことも出来ない富江。
いつしか富江は、太宰治との心中を唯一の心のよりどころとします。
一見物静かで、太宰治の言うことを全部聞いてしまうようなタイプに見えた富江。
しかし太宰が愛した女性の中で一番激しく、破滅的でとても強い女性だったのかもしれません。
人間失格の「生きなくていいよ、今死なないと絶対一緒に居られなくなる。」っていう心中する前のセリフが深くて忘れられない。男から見たらヤンデレやばすぎなのかもだけど、この世で一緒にいられないなら一緒に死にたいって思ったことくらいあるよ。え?あるよね?それが愛でしょ?
— ❥︎mayu (@purinpox) September 29, 2019
真面目な富江が太宰に堕ちていく姿は、とても官能的で印象に残りました。
二階堂ふみさんには以前から注目していましたが、今回その演技力の高さに脱帽しました。
半狂乱になって自殺をしようとしたかと思えば、太宰にまたがり妖艶に迫っている姿を見せる富江。
どこか壊れているようで、けれど魅惑的で、目が離せないような演技をされていました。
二階堂ふみさん、改めて素晴らしい女優さんだと再認識しました。
今日は「人間失格 太宰治と3人の女たち」
二階堂ふみちゃんの演技が圧巻。最初の初々しいキスシーンから数ヶ月で妖艶な女への変貌ぶりが見事
高良氏の三島が美しくて眩しかった
明治大正昭和にかけての文豪はこの人に演じさせてw
でもCGで花びらや雪を飛び散らした演出の多用はやっぱり苦手な私です pic.twitter.com/1i11IqR4R8— ニシ (@nishi0503) September 26, 2019
山崎富栄さんって、凄い綺麗な方だったんですね。
二階堂ふみさんの演技凄かったです。
3人の女の中で、感情移入してしまったのは、美知子さんでした。
太宰治が甘えてるのも凄く良かったです。#人間失格#二階堂ふみ#小栗旬 pic.twitter.com/Le8RCdYwfy— 小栗旬🌰甘栗 (@amaguri_oguri) September 17, 2019
先日、リアル一年振りくらいに映画館に足を運んで『人間失格』を見たんだけど
二階堂ふみ演じる太宰治の愛人があまりにも狂ってて
「メンヘラってこんなにも頭のネジ外れてる、危ない人たちなのか…」と思った一方二階堂ふみの演技力の凄まじさに、彼女の虜になってしまいました pic.twitter.com/1y3Lq7XT0J
— ケンゾウ・シライ (@shiraihiro) September 14, 2019
映画『人間失格』2019の感想
全体を通して、スクリーンが常にたくさんの花とともに、色彩豊かに彩られていることに目を奪われました。
太宰を愛した女性たちを花になぞらえているようでした。
その中でも二階堂ふみさん演じる富江の花が、一番鮮やかに咲いていたように思います。
そして小栗旬さんの演じる太宰治は、ダメでどうしようもないけれど、とても優しい人なのだと感じました。
既婚者でありながら、別の女性に恋をすることを、花を愛でるかのようにごく自然にしていた太宰。
とてもずるいけれど、女性たちを決してつっぱねることはしなかったのです。
その太宰のどこか人を惹きつけてやまないという魅力を蜷川監督が、描き切っていました。
他にも美しい映像も蜷川監督ならではですよね!
またいつか機会があれば、今度はそういった数々の色彩の豊かなシーンをゆっくり見直したいと思います。
蜷川実花さんトレンド入りしてる!!🌸🌺
世界観好きすぎて昨日人間失格見てきた!!
装飾とか色使いとか花で季節や時の経ち方表現されててすごい✨
満開のピンクの梅の庭園を静子さんが恋する気持ちに満ち溢れて太宰の元へ走っていくシーンすごく華やかで可愛いかった💓こっちまでウキウキした💕— 雛乃ゆめか (@yumeka_hinano) October 3, 2019